社会人になってから結婚するまでの数年間、実家近くでペン習字を習っていました。
先生は当時60歳ぐらいのマダムで、お子さんたちは既に独立。
自宅で習字教室を開いていました。
社会人になるのだから字を綺麗にかけないとまずい。とたまたまポストに入っていたチラシを見て、
申込の電話をし、通い始めました。
新卒で二年間は販売をしていたので、
閉店後教室に顔を出せるのは夜8時ギリギリです。
それでも先生は嫌な顔をすることなく、遅い時間まで課題を見てくれました。
また先生はとても褒め上手でもありました。
一定の課題が終わると昇級の認定課題があるのですが、
「あなたなら入選するから」と
いつも励ましてくれました。
入選といっても何かもらえるわけではなく、認定者一覧の自分の名前の上に賞の種類により◯や二重◯がつくだけなのですが、
選ばれた時は嬉しかったです(この頃から目に見える実績を出したい8の要素がうかがえる。お手本通りのキレイな字が書きたい。は4)。
とても穏やかな先生ですが、一度だけその雰囲気からはとても意外な印象に残る発言をされていました。
ある日、教室に行くと先生が
とてもキレイなネイルを
されていたのです。
絵の具でいうと「オペラ」という色が近いです。明るいピンクがかった紫色です。
ステキだな。と手元を見ていたら、
「ちょっとヤ◯ザみたいなことしてみたのよ」
と恥ずかしそうにおっしゃいました。
ヤ、ヤ◯ザ!?
おそらく先生の娘時代は戦後間もなく。おしゃれもできず質素に暮らすことを求められていたのでしょう。
奥ゆかしいなあ。と思いました。
そしてまたヤ◯ザという表現の斬新さにも驚いたのです。
あれから20年経ちました。先生ももう80歳を過ぎている頃です。
ふと懐かしくなって
習字教室のことを母に伝えると
「ああ、ムラヤマ先生(仮名)ね。まだ教室やってるよ。時々チラシ入ってる」
との答えが。
結婚して引っ越して数ヶ月後にペン字はやめてしまったのですが(しばらく自宅から通ったが、きつくてギブアップ)、
お嬢ズを連れて久々にお会いしたくなりました。
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